- この記事で解決できる悩み
- 派遣社員が会社都合になるための条件を知りたい
- 会社都合になる5つのパターンを紹介
- 派遣社員の期間満了時の失業保険を知りたい
- 更新しないとわかったときに取るべき行動
- 本記事の信頼性
現役で退職や契約更新しない際の手続きや面談を担当しています。
派遣契約を更新しない場合、「会社都合」か「自己都合」どっちになるのかは気になりますよね。
派遣社員で契約期間満了まで働くと、自己都合であっても上記の理由は回避することが出来ます。
そして、会社都合になる可能性も正社員と比べると高いです。
派遣社員で働いていると契約期間があります。
この契約期間1か月前に、ふと営業から、「派遣先企業が業務縮小になったので、次回の更新はしない」と言われることがあります。
中には、理由も教えてくれず、期間満了で終了になるでしょう。
この記事を読むことで、安心して退職することができ、とるべき行動が見えます。
失業保険を考えている方には、派遣社員ならではの有益情報もあります。
最後までお付き合いください。
会社都合になるための前提条件
会社都合になるための前提条件は1つです。
あなたが契約更新を希望している
シンプルで分かりやすいですが、非常に大切です。
契約更新を自ら希望しない場合は自己都合になります。
でも職場でハラスメントが職場で黙認されているし、精神的に病みそう。
本記事でしっかり解説しますのでご安心ください。
あくまでも、前提条件としてあなたが契約更新を希望していることが会社都合になる秘訣と認識してもらえれば大丈夫です。
なぜ派遣期間が満了したのに会社都合にならないのか?
あなたの雇用主が派遣会社だからです。
派遣会社が次の仕事をあなたに適切な勤務先を紹介した段階で会社都合ではなくなるからです。
もし派遣会社から仕事紹介がなかった場合や、紹介された仕事があまりにも勤務条件が現実離れした場合は会社都合になります。
下記のシチュエーションを考えてみましょう。
「派遣先企業で正社員の採用が決まったから契約更新しない」
この場合、派遣先企業は派遣会社にその旨を伝えます。
そして、派遣会社はあなたに更新しない告知をしますが、大抵の派遣会社は併せて別の仕事を紹介します。それはあなたの雇用を守るためです。
しかし、勤務条件は一致しているが、あなたが紹介された仕事を断った場合、断ったのはあなたであり、派遣会社は雇用を守るための努力はした。となります。
断ったのは自分自身であるため、会社都合ではなく、自己都合となるわけです。
そして、雇用主は派遣会社であるため、派遣先企業の状況がどうであれ、関係ないのです。
一般的な流れはこうなりますが、【派遣会社があなたの雇用を守るための努力】ここが非常に大切になります。
派遣の更新を希望しているのにも関わらず派遣会社が対応してくれなかったり、勤務条件にそぐわない仕事を紹介された際は会社都合です。
次の章で具体的なパターンを解説していきます。
会社都合になる5つのパターンの具体例
ここからは会社都合になるパターンを5つ紹介します。
前提として、あなたが更新を希望する意志を見せることが必要です。
それぞれ解説します。
派遣会社の倒産
派遣会社が倒産した場合は会社都合になります。
会社から仕事が紹介されなくなるためです。
気を付けていただきたいのが、派遣先企業が倒産しても会社都合にはならないことです。
派遣先企業が倒産しても、派遣会社の社員であるあなたとは別問題として処理されます。
大抵の場合は一か月前には更新しない通知が来ているはずですし、次の仕事も派遣会社からされることでしょう。
あくまでも派遣会社が倒産した場合と思ってください。
更新ありだったのに、派遣会社から仕事の紹介がなかった場合
派遣会社から次の仕事が紹介されなかった場合は、会社都合になります。
契約更新されないとわかっていながらも、派遣会社から次の仕事の案内がされない場合。
派遣先企業から更新されなかったとしても、派遣会社はあなたの雇用を守る必要があります。
これは雇用安定措置により次の就業先の提供が努力義務として決められているためです。
雇用安定措置の説明
長期勤務を希望している際、派遣会社は厚生労働省からあなたの雇用を安定させるために以下2つのことを行います。
- 派遣先への直接雇用の依頼
- 新たな派遣先の提供(合理的なものに限る)
- 派遣元での無期雇用
- その他安定した雇用の継続を図るための措置
あなたのキャリアアップを図るためにあります。
- 段階的かつ体系的な教育訓練
- 希望者に対するキャリア・コンサルティング
上記が派遣会社には課せられています。
参考:厚生労働省「派遣元事業主の皆さまへ」
私から更新希望しているのに、その後派遣会社から全く連絡がない場合はどうなるの?
更新希望を出している場合は、堂々と会社都合だと言い張っていきましょう。
契約更新なしの通知が来て、あなたから次の仕事の紹介を希望しているにもかかわらず、その後「派遣会社から全く連絡がない。」「こちらから連絡しても折り返しがない」こういった場合も事例として起きます。
- 契約終了を期に、あなたが勤務条件を変更した場合
- あなたから次の仕事の希望を出さなかった場合
上記の場合は自己都合になる可能性が非常に高いです。
だからこそ、会社都合にするためには、次の仕事も探していますと伝えることが大切です。
給料の3分の1以上の金額が支払期日までに支払われなかった場合
これは倒産の危機がありますね。
理由は不要だと思いますので、直ぐに辞めましょう。
もしかすると営業担当の給料計算ミスもあるかもしれませんが、お金に関するミスがあることは許されません。
派遣先でハラスメントやイジメなどのトラブルがあったのに会社が対応しなかった場合
ハラスメントがあった場合、派遣会社に伝えていたにもかかわらず対応してくれなかった場合も会社都合になります。
ハラスメントは派遣会社がちゃんと向き合い対応することにより減らすことは可能です。
ハラスメントに似たことはされたけど、具体的にと言われても難しいな…
された側がどう感じたのかが大切ではありますが、証拠がないことがほとんどだと思います。
思い出せる範囲で事例を派遣営業に伝えることで通常は対処してくれます。
派遣営業が対応し、職場改善ができたにも関わらず退職となった場合は自己都合になりますのでご注意を。
紹介された仕事があまりにも勤務条件が現実離れしている場合
例えば下記の仕事場を提案された場合どうでしょうか。
- 通勤時間が2時間かかる派遣先を提案された
- 元々平日のみの勤務だったのに、土日出勤になる仕事を提案された
- 勤務時間が16時までの希望なのに、19時までの勤務時間の派遣先を提案された
現実的ではないですよね。
主婦で派遣の仕事をしている方も多くいらっしゃいます。
子供の保育園の送迎が必要と派遣会社に伝えているのに、19時までの仕事を提案されたら現実的ではないですね。
また通勤時間2時間は人によっては「今がそうだ!」と言われる方もいると思いますが、元々勤務していた派遣先が通勤30分だった方が2時間になってしまった場合、現実離れしています。
今の勤務条件と大きくかけ離れる勤務条件の場合は、たとえ仕事を紹介されたとしても「紹介したから自己都合」とはなりません。
よく以下の質問を受けます。
業務内容がかけ離れている場合は現実離れですか?
あまりにもかけ離れているのであれば会社都合でしょう。
例えば元々事務の仕事をしていたのに、販売職の仕事を紹介されたり工場の仕事を紹介された場合です。
異業種になりますし、派遣会社に登録した段階の希望条件と大きくかけ離れることでしょう。
また職種が変わることにより、勤務条件すら変わる可能性もあります。
元々していた事務の仕事では平日のみだったのに、販売職になって土日も出勤になった。工場であれば、夜勤があるとか。
業務内容がかけ離れている場合でも会社都合になることを認識しておくといいですね。
失業保険の違い「自己都合と会社都合」
ここからは失業保険について解説いたします。
【大事】失業保険給付のための前提知識
失業保険をもらう場合は下記の条件に一致していないといけません。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
- 雇用保険に加入した会社を通算して1年以上、派遣で働く者であること
通算して1年について補足をすると、例えば派遣元会社は同じで、派遣先が3か月単位で変わっても合算できるということです。
最低でも通算で1年以上は勤務していないといけない事が注意点です。
派遣社員の離職区分は4つある
この離職区分により失業給付が変わります。
派遣会社から貰った離職票-2に離職区分は記載されてます。そこで確認できますが、非常にややこしいため、表にまとめました。
辞めた時期 | 不問(例は以下) ハラスメント・派遣会社の倒産・雇止め・給料未払い | 期間満了 | 期間満了 | 期間途中(会社都合の場合を除く) |
---|---|---|---|---|
次の仕事の紹介希望有無 | 不問 | あり | なし | なし |
退職理由 | 会社都合 | 会社都合 | 自己都合 | 自己都合 |
受給資格区分 | 特定受給資格者 | 特定理由離職者 | 特定理由離職者 | 受給資格者 |
離職票-2の離職区分 | 2B | 2C | 2D | 4D |
失業給付待期期間 | なし | なし | なし | なし |
給付制限 | なし | なし | なし | 2か月 |
給付日数 | 90日〜330日 | 90日〜330日 | 90日〜150日 | 90日〜150日 |
国民健康保険料軽減 | あり | なし | なし | なし |
ポイントとしては、派遣社員は期間満了終了であれば、「更新希望有無に関係なく」給付制限なしで失業給付を受け取ることができます。特定理由離職者に該当するためです。
これは期間の定めがある派遣社員だからこそできることですが、給付日数は会社都合退職よりも短くなりますので注意してくださいね。
失業給付をハローワークに提出する際に、離職理由は間違えていないか?と確認してくれます。
もし間違っていると思った場合、ハローワーク担当者に伝えてください。
修正してくれることがあります。
ちなみに失業保険の金額はどれくらいもらえるんですか?
目安ですが、離職した日の直前の6ヶ月間に支払われた賃金の合計金額を180で割った額の50%から80%です。
こちらのサイトで調べることができます。
【2023年度最新】法改正で変わった点
法改正は定期的にありますので、ネットで調べても最新の状態になっていない場合があります。
誤った情報を持たないようにしましょう。
以下2つにお気を付け下さい。
- 給付制限が3か月から2か月に変わっています
-
2020年10月1日の法改正により変更されています。
今までは自己都合退職の場合、給付制限が3か月でしたが、2か月になりました。
- 1か月の失業給付待期期間がなくなりました
-
今までは「派遣の更新を希望した」場合において下記の制限がありました。
- 勤務していた派遣会社の勤務期間満了後1か月は、派遣会社から次の仕事紹介を受けるために待っていなければならない
- もちろんこの期間は違う仕事はできない
- 1か月経たないと失業給付が受けられない
この制限がなくなっています。
契約更新せず自己都合退職の場合は次の転職に影響があるのか?
ありません。
- 自己都合でも履歴書には「契約期間満了」と書ける
- 面接では仕事をしていない期間の方が見られる
派遣社員は期間を定める働きのため、履歴書には契約期間満了と退職理由を書けます。
面接の際の退職理由を聞かれた際は、「元々働く期間が決まっていました」と、いい感じに隠しながら伝えることもできるでしょう。
そして、転職活動において最もリスクが高いことは転職までの空白の期間を作ることです。
退職理由よりも、重要視されるポイントでもありますので、できる限り空白期間は短いほうがいいですね。
次の転職先が決まっていない場合は、派遣会社をつなぎとして利用することをおすすめします。正社員よりも採用がされやすくなります。
おすすめの派遣会社を記載しますので、まだ登録されていない方は登録しておくといいと思います。
更新しないとわかったときに取るべき行動
更新しない場合に取るべき行動は3つあります。
- 残った有給の申請
- 派遣会社から次の仕事紹介があるかの確認をする
- 次の仕事探し(とりあえず別の派遣会社には登録しておくと吉)
それぞれ解説します。
残った有給の申請
もし派遣会社も辞める場合は有給を全部使い切りましょう。
2パターンの使い方があります。
- 雇用契約期間中に有給を利用する
- 有給の買取依頼をする
一般的には雇用契約期間中に有給を利用します。
しかし、例えば有給が20日も残っていた場合使い切れませんね。
派遣先企業のシフト調整ができれば使うことができるかもしれませんが、ほとんどの場合使い切れずに契約期間満了を迎えます。
だからこそ、有給の買取を依頼してみましょう。
有給の買取って?
有給の買取とは、使えなかった有休を給料に還元することです。
有料買取は違法とされていますが、営業担当によってはやってくれます。
注意点として、派遣会社から次の仕事紹介があった場合は、有給を残しておくといいですよ。
有給は雇用主である派遣会社を退職しない限り、有給は継続されます。
要は、派遣先企業が変わっても有給は残ります。
派遣会社から次の仕事紹介があるか確認をする
契約を更新しないと通知が来た段階で、営業担当に次の仕事紹介があるかを確認しましょう。
- いつまでに仕事を紹介できそうか?
- どのような仕事になりそうか?
大体の目安を派遣営業は答えてくれます。
どうして営業担当に確認するんですか?
確認する目的はこの通りです。
- 自ら転職活動をするべきか予測ができる
- 次の仕事紹介が難しそうであれば、「会社都合」で退職できる確率が上がるため
更新しないと通知を受けた際、真っ先に思うことは「次どうしようかな」です。
派遣会社であなたがどうなるかは、派遣営業にしかわかりません。
だからこそ、派遣営業に次の仕事紹介があるか確認をしていく必要があるのです。
次の仕事探し(とりあえず別の派遣会社には登録しておくと吉)
よくある失敗として、このような失敗談があります。
- 派遣営業からの回答を待っていたら行動が遅れた。
- 行動が遅れたことによって、仕事をしていない期間が生まれた。
本当に多いです。
派遣営業はできるだけ自社に留めておきたいと考えるため、「もう少し待って」と次の仕事を先延ばしにしてしまう傾向があります。
あなたの人生は自分で決めるものです。
派遣営業に頼らず、自ら転職活動をしてしまうことをおすすめします。
もしかすると転職活動したことにより、今よりも好待遇で採用が決まることもありますからね。
万が一、派遣営業から次の仕事紹介があった場合、「別の会社で決まったので断ります」と伝えるだけです。
その場合は自己都合退職になりますが、まぁいいでしょう!
転職活動に悩んでいる場合は、つなぎで派遣会社を利用するといいです。
転職までの空白期間をなくすことができますし、収入も得られるので、余裕を持った転職活動ができます。
なにより、派遣を利用していたからこそ派遣の仕組みは理解していると思います。
まとめ
この記事では派遣契約を更新しない際の会社都合になるパターン、立ち回りを解説しました。
重要なポイントは下記です。
- 会社都合になるためには「更新を希望する」意思を示すことが大切
- 会社都合にならないのは、雇用主が派遣会社だから
- 契約期間満了することで、万が一「自己都合」でも失業給付の給付制限はない
- 転職では会社都合退職よりも空白の期間を見られる
- 更新しないとわかったときは有給を使い切り、次の仕事は水面下で進めていきましょう
派遣の働き方は少し特殊です。
そのため、期間満了の場合は会社都合なのか、自己都合なのかが判別しにくくなるのも事実です。
正しい知識を持つことが人生にきっと役に立つと思っています。