派遣社員として働いていて、今の職場を辞めたいのに辞めさせてくれない。「契約満了までして」と高圧的に言われて八方塞がりなんです。
こんな悩みを解決します。
- 本記事の内容
- 契約途中で辞められない理由
- 辞める具体的方法
- 辞めるときに覚えておきたい法律一覧
- 簡単に自己紹介
派遣として働いているが、今の環境が嫌で契約途中であっても辞めたいと考える方は多いです。
いざ派遣営業に「辞めたい」と伝えたものの、高圧的な態度をされ、辞めさせてくれない。
精神状態が持たないよ…
と考えながら働くのはつらいですよね。
本記事で解説している方法を使うことで、契約途中でも辞められますよ。
あなた自身の固い意志も必要になりますが、辞めるにあたって「自分自身を守る知識」を本記事でつけていきましょう。
私自身、現役の派遣営業として最前線を駆け抜けていますので、よりリアルな内容をお届けできると考えています。
そもそも派遣の契約途中で辞めても問題ない
謝った認識にならないために、先にお伝えしたい点があります。
原則として、契約期間が定められている派遣社員は、契約途中で退職することができません。
では、派遣で契約期間を守っている人はどれだけいるのでしょうか?ほとんどいません。
契約期間途中で退職しても「損害賠償」や「法のトラブル」は起きないんですね。
契約途中で退職する唯一のデメリットは次の2点
- 今の派遣会社からは仕事をもらえなくなる
- 失業手当の給付開始が遅くなる
はっきりいうと、そんなリスクであれば構わない。と感じる方がほとんどなのではないでしょうか。
本記事で解説する内容は、やむ得ない理由に沿った内容です。
派遣会社が契約途中で辞めさせてくれない6つの理由
派遣会社が契約途中で辞めさせてくれない理由は以下の通りです。
- 派遣先の信頼がなくなることを恐れているため
- 次の人材を確保する期間が必要なため
- 派遣先からのクレームが嫌
- 派遣営業のノルマがあるため
- 退職月をコントロールしたい
それぞれみてみましょう。
①:派遣先の信頼がなくなることを恐れているため
派遣会社は、派遣先企業との信頼関係を維持するために、退職を全力で阻止します。
契約途中で辞められると、派遣先企業から「人材会社として信頼できない」と判断され、今後の取引に影響が出る可能性を懸念しているんですね。
私の経験としても、派遣社員の契約途中退職によって、次の人選のハードルが上がったり、必要以上に厳しく見られたりします。
②:次の人材を確保する期間が必要なため
派遣社員が契約途中で辞めると、派遣先企業は新たな人材を確保する必要があります。
派遣先に退職を伝えたら、テンプレートのように「次の人選は?」と聞かれます。
人材を新たに採用するには1ヶ月ほどかかるのです。
急な退職になった場合、全ての業務を止めて、人を探す必要があります。
夜に派遣会社から「今のお仕事状況の確認で…」と電話が来た経験はありませんか?
突発退職が出たから人を探しているんですよ。私も派遣登録を何社かしていますが、ちょこちょこ電話かかってきます。
③:派遣先からのクレームが嫌
派遣社員が契約途中で辞めると、派遣先から派遣会社に確実にクレームが入ります。
「次どうするの?」と言われ、派遣会社としては「次の人を探します」と探し回る結果となるのです。
これが予想以上にメンタルにくるのです。
派遣会社としては、クレーム対応に時間と労力がかかってしまうため、全力で避けたいと考えるものですよ。
④:派遣営業のノルマがあるため
派遣営業にはノルマが課せられています。
入社したらプラス、退職でマイナス。合わせた数字を増やしていかなければなりません。派遣会社も営業ですからね。
契約途中で辞められると、ノルマ達成が難しくなるため、派遣営業としては困るのです。
知ったこっちゃない内容ですが、派遣営業はあなたを見ているのではなく、数字を見て仕事をしている人が多いのです。
⑤:退職月をコントロールしたい
派遣営業は、派遣社員の退職時期をコントロールすることで、ノルマのコントロールをしようとします。
また、すでに同じ派遣先で別の派遣社員が突発退職をしていた場合、「今はやばい!」と派遣営業は考えるんですね。こういった理由で退職月をコントロールしていることもあるんですよ。
派遣営業ならではの苦悩が伺える内容ですね。
私自身も営業をしているからこそ共感できます。派遣営業のキツさを見てみたい方は以下の記事をご覧ください。
生々しいリアルを解説しています。
⑥:【おまけ】派遣営業が高圧的で怖いとき
派遣営業の中には、高圧的な態度で派遣社員に接する人もいます。
私は高圧的な人が嫌いです。
契約途中で辞めたいと相談しても、「契約違反だ」と脅したり、「責任を取らせる」と迫ったりして、辞めにくくする場合があります。
派遣営業をたこ焼きだと思って接しましょう。
必要以上に引きとめられることもありますね。このあとに解説する対処法を実践して振り切っていきましょう。
派遣の「契約途中で辞めさせてくれない」を振り切る7つの対処法
派遣契約は民法上の雇用契約に基づいており、労働者側には契約期間途中でも「やむを得ない事由」があれば解約する権利があります。
しかし、実際には様々な理由で派遣社員が契約途中で辞めにくい状況に陥ってしまうことがあります。
ここでは、派遣契約を途中で辞めるための具体的な方法をいくつか紹介します。
- やむ得ない理由で辞める
- 固い意思をもって「辞める」と伝える
- 診断書を取ってきて辞める
- 退職代行サービスを利用する
- 【強行突破】派遣先へ辞めることを伝える
- 体調不良を繰り返して辞める
- 有給を使いながら期間満了で辞める
①:やむ得ない理由で辞める
民法第628条で、労働者側が「やむを得ない事由」があれば、契約期間途中でも解約できることが定められています。
無理やりにでも「やむ得ない事由」に退職理由を持っていくことで退職できます。
私自身の経験の中で最も多いのが
- 家族の介護
- 精神的な病気にかかった
ですね。派遣営業は事実かどうかの見極めまではできません。
言われたことを信じることしかできないんですね。
②:固い意思を持って「辞める」と伝える
派遣営業が退職を止てくるのは【あなたが、まだ退職を考え直してくれる】と営業に認識されているため。
派遣会社や派遣先企業から「辞めさせない」と引きとめを受けた場合は、「辞めたい」という意思を明確に伝えることが重要です。
「どうしても辞めたい」意志を示すことで、相手も諦める可能性が高くなります。
場合によっては、次の内定が決まっていなくても、「決まった!」と言い張る勇気も必要になります。
断固たる決意で営業とは向き合う必要があるのです。
③:診断書を取ってきて辞める
最近多いのは「適応障害」の診断書です。
診断書を取ってきて会社に提出することで辞められます。
働かせたくてもドクターストップがかかってますからね。
診断書には、病名や症状だけでなく、働けない期間も記載されている必要があります。
※適応障害の診断は大抵1ヶ月の休暇を要すると書かれています。
診断書を提出してお休みを貰うことで、辞めやすくなるのです。
診断書でどうしてやめやすくなるんですか?
以下3つの理由からです。
診断書の提出で辞めやすくなる理由
- 派遣会社が派遣先に対して「言い訳」ができるから
- しょうがないとなるから
- やむ得ない理由だから
注意点としては、精神科の予約はなかなか取れないことですね。
④:退職代行サービスを利用する
自分で会社に退職を伝えるのが難しい場合は、退職代行サービスを利用する方法もあります。
退職代行サービスは、代わりに会社に退職を伝えてくれるサービスです。費用はかかりますが、自分で会社に話す必要がないので、精神的負担を軽減できます。
退職代行サービスを利用する場合は、信頼できる会社を選ぶことが重要です。事前に口コミや評判を確認するようにしましょう。
⑤:【強行突破】派遣先へ辞めることを伝える
派遣会社や派遣先企業がどうしても辞めさせてくれない場合は、派遣先へ直接辞めることを伝えるという方法もあります。
この方法はリスクが伴いますが、他の方法でうまくいかない場合は、最後の手段として検討する価値はあります。
派遣営業は、派遣先へ退職を伝えるのが怖いのです。だからこそ退職の報告を後回しにしたり、退職抑止をしてくるのです。
本来の退職の流れとは外れるため、派遣会社から怒られるリスクはありますが効果的です。
最終手段として取っておいてください。
⑥:体調不良を繰り返して辞める
体調不良を理由に休職を繰り返すことで、結果的に辞めることも可能です。
ただし、体調不良を繰り返す方法は会社に迷惑をかけることになりますし、あなたの忍耐力も必要となります。
あくまでも最後の手段として検討しましょう。
体調不良を理由に辞める場合は、以下の記事が参考になるでしょう。
⑦:有給を使いながら期間満了で辞める
有給休暇を使いながら契約期間満了まで働くことで、辞めることも可能です。
有給休暇は労働者の権利なので、会社は拒否できません。
ただし、事前に会社に申請する必要があります。
有給を使いたいと申請することは勇気のいることですが、権利として使えます。
有給を活用しながら、できる限り出勤日数を減らして契約期間満了を目指しましょう。
【コラム】退職の引きとめに法的拘束力はない
会社で働いている人が「もう働きたくない」と言ったとき、その会社の中には、「まだ辞めないで」とお願いすることがあります。
特に、後任が見つかるまで待ってほしいと言うことがよくありますね。
中には、「新しい人を見つけるまで、あなたが責任を持ってください」と言う会社もあります。
退職問題で、労働基準監督署に相談する人が多いです。
でも、労働者には、「退職の自由」の権利があります。
会社は常に、人が辞めると思っておかないといけません。新しい人がまだ見つからないからといって、辞めさせないことには、法律で決められたルールはないんです。
働いている人が辞めたいと言ったら、勤務が1年以上経過していた場合は、2週間後には辞めることができます。
派遣会社を辞めるときに知っておきたい契約と法律
ここからは、あなたを守る法律をいくつか紹介していきます。
自分自身で自分を守らないといけないことはなく、法律によっても守られているんですよ。
民法137条(一年経過ですぐ辞められる)
期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が一年を超えるものに限る。)を締結した労働者(第十四条第一項各号に規定する労働者を除く。)は、労働基準法の一部を改正する法律(平成十五年法律第百四号)附則第三条に規定する措置が講じられるまでの間、民法第六百二十八条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から一年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。
派遣社員や契約社員など、契約期間が決められている人は、1年働くと辞められます。
意外と知らない方も多い法律ですよ。
派遣営業でも知らない人が多いような気がします…
民法628条(やむ得ない事由があれば辞められる)
当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
この法律は有名ですね。
実際に私自身も過去の退職理由を調べると、やむを得ない理由が多いような気がします。
なぜここまで親の介護や精神的な病で辞める方が多いのか。謎が残ります。
労働基準法第5条(ハラスメントに関する内容)
使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。
ハラスメントはセンシティブな内容になりますので、退職理由で使う方は少ないですね。
会社としても改善をしていくために、事情聴取をしますので。
証拠がある場合は有効な手段となります。
民法627条(無期雇用だった場合は適用可能)
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる。この場合において、雇用は解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。
派遣社員の中でも無期雇用派遣として働いている方が該当します。
無期雇用派遣って?と思われた方はこちらの記事を参考にしてみてください。
派遣会社の正社員として働くことです。
期間の定めがない場合は2週間前の告知で退職できます。
それに、会社の了承がなくても辞められるんですよ。
労働基準法第15条(明示された労働条件と異なった場合)
使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。 ② 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。 ③ 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
労働条件については、入社時に渡された「雇用契約書」を確認しましょう。
入社時に隅々まで確認する方はいません。
しかし、改めて確認すると「あれ?」と思う意外な発見もあるかもしれませんよ。
特に以下を確認しましょう。
- 契約期間
- 業務内容
- 退職に関する備考欄
労働基準法第16条(損害賠償は請求されない)
使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
よく、退職の申し出をしたときに「損害賠償」の話を持ち出してくる派遣営業がいます。
事前に損害賠償の契約を結ぶのは法律違反なんですよ。
貸与品の損失で損害賠償になることはありますが、辞めたからといって損害賠償求める事例は私自身も経験したことがありません。
※派遣営業経験13年あります。
派遣会社が辞めさせてくれないときの注意点
派遣社員として働いている環境から「抜け出せない」と感じることから、バックレといった行動も脳裏をよぎることでしょう。
ここからは派遣をやめる際に注意しておきたい3つの注意点を解説します。
- バックレるとめんどくさくなる
- 貸与品は必ず返却する
- 一日で完結できないことを覚えておく
バックレるとめんどくさくなる
派遣を辞める際には、「バックレ」は避けるべきです。
なぜなら、バックれると、場合によっては親への連絡や警察への報告がなされることもあるから。
バックレは、自身のキャリアにも悪影響を及ぼし、問題を招くリスクもあります。
たしかにバックレたくなる気持ちはわかります。
辞めさせてくれない派遣営業と、劣悪な環境の派遣先に挟まれているわけですから、精神状態が持たないんですよね。
バックレ(無断欠勤)をした場合にはどうなるのか?を解説した記事を準備しました。
脳裏によぎっている方は一読ください。
貸与品は必ず返却する
派遣社員として貸与された物品、例えばセキュリティーカードや制服などがある場合は、必ず返却しましょう。
貸与品を返却しないと、損害賠償を請求される可能性があります。
貸与品の返却は、退職手続きの一環として非常に重要です。
また、私物の回収も忘れずにしていきましょうね。
私物が残っていた場合、会社は勝手に捨てることが出来ません。必ずあなたへ「捨てていいか?」と確認を取った後に対処していきます。
やり取りをしたくない派遣会社と再度やり取りが必要になるため、事前に回収しておきましょう。
一日では完結できないことを覚えておく
退職のプロセスは、一日で完結することはありません。
退職を希望する場合、まずは派遣元の担当者に退職の意思を伝え、その後、派遣先との面談や話し合いの場が設けられることがあります。
退職したいと伝えたからといって、すぐに派遣を辞められるわけではないため、ブレない固い意思を持つことが大切です。
よくある質問
【まとめ】派遣契約期間途中でも辞める方法はある
辞める方法を解説すると、派遣会社から私にクレームが入りそうですね。
1人の個人的な意見として受け取ってください。
勤務をしている中で、最もトラブルが多いのが辞めるときです。
しかし、知識がないために、派遣会社の言いなりになってしまう方は多いと感じています。
少しでも本記事を参考にしてもらい、あなたの知識が増えることを期待しています。